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北米映画業界、昨年の過去最悪の景気低迷!相次ぐレイオフ?!

北米の映画人では誰もが直面した、昨年に震撼した最悪の景気低迷の時期。

ハリウッドムービー、ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日(Life of Pi)やX-Menなどを製作した

リズム&ヒューズ・スタジオの倒産。

ドリームワークス・アニメーションの大レイオフ。

2012年には、大手VFX映画会社であるデジタルドメインの倒産。

などなどこの所、まったくもって良い噂を聞かない北米映画業界。

 

筆者も2012年度にはレイオフになってしまい、なかなか私自身も見過ごせない状況となっています。

なぜこのような事が起こっているのか、これからどうなっていくのだろうか、と今回は簡単に解説していきたいと思います。

 

今回そしてこれからのキーポイントの一つである、バンクーバーについてもご説明したいと思います。

以前のブログでも説明した、もはやハリウッド言わざるを得ないバンクーバーの映画産業

なぜバンクーバーに映画産業が移ってきているのか。

それはカナダが実施するTaxインセンティブの影響が挙げられます。

日本語で言うと税制優遇制度です。

 

つまり簡単に言うと、カナダのバンクーバーで映画を作ると、製作費の約3割分のお金が、還付されるわけです。

ハリウッドで映画を作るより、3割安でカナダで映画が作るわけです。

これが今、ハリウッドから映画産業がバンクーバーに移った大きな理由です。

映画製作がバンクーバーに移ってしまったために、ハリウッドの大手スタジオの本社の経営を圧迫

最終的に倒産を迎えました。

大まかな流れですが、これがリズム&ヒューズ・スタジオの倒産の大きな要因でした。

 

ここにVFX業界ではちょいと有名なリズム&ヒューズ・スタジオ、倒産をメインにしたドキュメンタリー映画。

ライフアフターパイ。LIFE AFTER PI  のリンクを張っておきます。

英語ですが、リズム&ヒューズ・スタジオがどのように倒産になったのか?その後の物語のドキュメンタリー映画です。

ほかにもドリームワークス・アニメーションも昨年には数百人という規模の人材を大イオフにしました。

北米VFX業界の問題としては、アメリカ海外への製作の流出が問題となっています。

今の世界の現状では、世界ではバンクーバーの圧勝と言える状況です。

 

しかしバンクーバーが一生安泰かと言われればそうではありません。

こうした状況で意外だったのが、昨年のディズニーのピクサーカナダ(Disney Pixar Canada)の撤退もありました。

これはバンクーバーの一人勝ちの状況にしては非常におかしな出来事でした。

大手のスタジオとしては、もしくはスタジオ中のバンクーバー初めての撤退で、バンクーバーのVFX業界に大きな衝撃を与えました。

こういうちょっとおかしな状況もあってのバンクーバー。

 

これは仕事を探す人にもそうですが、一度大手スタジオが現地でレイオフを出すと。

優秀な人材がその分現地にあふれてしまい、就職の競争が起きるわけです。

詳しい状況は分かりませんが、同僚だった人が、すべてレイオフされてしまい、

昨日まで同僚だった人が今日からは仕事探しのライバルになってしまうという状況です。

もちろん優秀な人材も溢れてしまい、現地で職を探している人にとっては大変な状況になるわけです。

 

ピクサーの移行の理由としては、ピクサーが発表したコメントは、支社の形を取りやめ、

ひとつのスタジオの中(本社)ですべてを製作するという内容でした。

他にも昨年にはカナダのケベック州も同じくTaxインセンティブを実行し、

カナダのゲーム会社のほとんどが、モントリオールへの移行を実施しました。

もちろんバンクーバーよりも安い値段で製作出来るわけです。

つまり今後はモントリオールになって来る様な気がする訳です。

モントリオールへの移行はこちらカナダでは、大きなニュースとなりました。

私は見ていないのですが新聞などにも掲載されたようです。

 

こういった状況の中、もはやVFXアーティストは完全に弄ばれている状況です。

昨年から北米では、VFXアーティストによりデモや抗議がよくあります。

緑色のプラカードをもち、デモ行進です。

(なぜ緑色?映画と実写を合成する際に現場ではグリーンスクリーンというのを置いて撮影します。たまに見るアレです。)

これは抗議の目印のようなものです。

私のFacebookのVFXの友人の多くも、プロフィール写真を緑色にしており、

私のFacebookの友人一覧もほぼすべてが緑色になったこともあります。

 

つまり現在の北米映画業界の状況を簡単にまとめますと

ハリウッド、北米西海岸のVFX業界は今完全に落ち込んでしまって止まっている状況です。

今後もいつ復活するかは、わからない状態。

今最も産業が多いバンクーバーの映画産業も、永久に安泰するかは不明な状況。

今度はインドか中国か。という悪い噂も耳に入ってきています。

 

これからもしばらくはバンクーバー共に世界のVFX映画産業から目が話せない状況です。

次回はもっと明るいニュースをお届けします!