バンクーバーVFX/CG現地体験会の参加をきっかけに海外スタジオへの就職を決めた作田さんへインタビュー

皆様、こんにちは!

本日は、CGアーティストのインタビューシリーズをお届けします。

インタビューに協力してくださったのは、弊社のバンクーバ-VFX/CG現地体験会への参加をきっかけに、日本からアプライを続け、ついにモントリオールのMPCでコンポジターとして働くことが決まった作田謙伸さんです。(更新:2023年1月現在は、バンクーバーのDNEGでコンポジターとして活躍されています。インタビューは、2022年6月に実施いたしました)

作田さんがバンクーバーのVFX/CG現地体験会に参加したときは、専門学校2年生の20歳のとき。体験会で海外で働きたいというモチベーションがグッと上がり、卒業後は、日本で社会人経験を積みながら、海外へのアプライを開始。

そして、ついに念願の海外スタジオへの就職が決定!2022年の8月から、モントリオールのMPCで働くことになりました。良い仲間、先輩に囲まれて日々成長する作田さんのストーリーがインタビューを通じて伝わってきます。

自分なんて海外挑戦なんて、まだまだと思っている皆さんにも勇気をもらえる内容になっていますので、ぜひご覧になってみてください。

それでは早速、インタビューをはじめていきます!

目次

Q1. 海外スタジオで働くことが決まったとのこと、おめでとうございます!これから働くスタジオ名とポジションを教えていただけますか?

ありがとうございます!8月からMontrealのMPCでCompositorとして働きます!

Q2. MPCに決まるまでは何をされていましたか?

日本工学院専門学校のCG映像科を卒業した後、Flameというソフトを用いてCM制作に携わる会社に1年ほどお世話になりました。

それからMegalisVFXという会社でCompositorとしてNukeを使って長編作品にいくつか参加させてもらいました。

Q3. CGは普段どのように学んでいましたか?

日本工学院専門学校に通っていた1年生の時に上級生からNukeの基礎を教えてもらい、その後は自分でLinkedin Premiumのチュートリアルビデオや本などを買って学習を進めていました。あとは学校でもNukeの授業があったので、先生に自主制作を観てもらったり、わからない点を質問したりしました。

周りの友人たちにも恵まれて、特に同学年のコンポジター2人や友人達と切磋琢磨できたのは凄くラッキーだと感じています。お互いわからない部分を教えあったり、映画のBreakdownなどを3人で見て意見交換などが出来たので、知見を深め合えました!

専門学生時代の友人達との写真

Q4. 海外で働きたいと思ったきっかけは何ですか?

自分の好きな作品に携わりたいのが大きかったです。

小さい頃からスパイダーマンが好きだったので、未だにスパイダーマン系統の作品に携わることが1つの大きな目標になっています!

専門学校の研修旅行で撮った写真(急に肩組まれて写真撮ってもらったら後から5$請求されました)

Q5. バンクーバーのVFX/CG体験会に参加していただきましたが、参加する前と参加した後で大きく変わった点は何かありますか?

僕がツアーに参加したのが専門2年生の20歳の時だったのですが、その時から海外のスタジオで働きたいというフワっとしたビジョンをハッキリと明確にイメージ出来るようになったことが一番変わったことだと感じています。

バンクーバーでのスタジオの雰囲気やカナダの文化などを実際に体験することで自分が働く場面を深く想像できたので、モチベーションがとても上がりました。日本に帰ってからも寝る前にカナダで働いている自分を想像してモチベーションが爆上がりしてたりしました(笑)

他にはツアーで知り合った方達の中で今も交流がある友人を作ることが出来ました。当時参加した時はまだ高校生だった方や、まだCGアーティストとして勉強をしている途中のアパレル業界の方なども参加していて、凄く勇気を貰えました。2人とは今でも仲が良くて、2人とも今年から国内の有名な会社で希望通りのポジションで働けています!2人とも勢いが凄いので「あ、頑張らないとヤバいな」って思わされますね(笑) 

ツアーの時に割と皆すぐ打ち解けて僕の部屋で人狼ゲームとかしてたので、ツアーに参加されてた方々とカナダでまた一緒に人狼ゲームやりたいです!

バンクーバーVFXツアーで知り合ったコンポジターの方と試行錯誤している写真

Q6. 海外のスタジオからオファーをもらうまでの流れを簡単に教えてもらえますか?

半年に一度くらいのタイミングでLinkedinを通して色々なスタジオにアプライを続けていたら、MPCのリクルーターからメッセージが来て、インタビューに至りました。MPCを受ける1週前にもRodeoFXともインタビューをしていたので、そんなにパニックにはなりませんでした。

そして実は今回決まる1週間前にもMPCモントリオールの別のリクルーターからメッセージが来てたのですが、それはインタビューまで進みませんでした。ただインタビューまで進まないのが普通みたいな感覚になってしまっていたのであまり落ち込みませんでした(笑)

Q7. 海外のスタジオからオファーをもらうために特に力をいれたことは何ですか?

諦めずにアプライを続けたことです(笑)

特に海外の学校を出てたりキャリアを持っているわけでもないので、積極的に行動するしかないと思って一年半の間ガンガン応募してました!返事が来ないのが基本なので最初にインタビューが決まった日はホントに眠れなかったくらい嬉しかったです!

Q8. 面接ではどのようなことをきかれましたか?

実は僕がインタビューを受けたのが夜中の3時で、そのことをアイスブレイクの時に伝えたら「じゃあパパっと終わらせよう!」って凄いスピードで進め始めてくれたので、他の方より短かったかもしれません(笑)

インタビューでは、リールの作品について深掘りされるのがほとんどでした。

「ここはどうアプローチしたの?」とか「このショットで大変だったことは?」とか。事前に聞いていた通りの質問が半分以上だったので、しっかりとリサーチすれば英語初心者でも答えられると思います。

あとは自分がインタビューを受けた2スタジオともDeepCompositingのことについては必ず聞かれました。

「どのくらい出来る?」とか「ここはDeepを使ったの?」とか。今働いているスタジオでDeepを扱っていたのですんなり答えられたとは思います。

事務的な質問だとワクチンの接種状況やビザ関連のことだけでした。

Q9. 面接を振り返ってみて、ズバリ!受かった要因は自分で何だと思いますか?

コミュニケーションを十分に取れる印象を与えたかったので、色々工夫を施して面接に挑みました。

ただ、英語がすこぶる苦手だったので8割カンペで乗り切りました(笑)

インタビューが決まってから実際にインタビューするまで3日も無かったんですけど、インタビューまでにリールの説明とか、聞かれることを予想してPDF4ページ分カンペを書いておいてインタビューの時に話しました(笑)

本番はとにかく話し切る!というスタンスで、ギリギリうざがられないような長さでバンバン説明し続けるように意識してみました(カンペを読みながらですが)

Q10. 英語はどのように学習されましたか?もしくは今も学習している場合はどのようにしていますか?

2年前は英検3級もギリギリ受かるくらいの英語力だったので、最初は文法の勉強から始めました(笑)

親しみやすい英語系Youtuberや、僕みたいな初心者でも理解しやすい文法書があったのでそれをとにかく読みまくりました。あとは英単語アプリで毎日100単語テストを連続正解するまで寝れま100とか勝手にやってましたね(笑) 

朝と夜の通勤電車でなるべく覚えて、寝る前にテストしまくる感じで。最初は中学英単語すらギリわからなかったので最初の方は全然寝れなかったのを覚えています(笑)

あとは自分がよく使う表現、クッション言葉を中心にテンプレを覚えたのは実際の会話に活かせたと思います。

お気に入りの写真家を探している写真

Q11. 将来はこんなCGアーティストを目指したいという目標は何かありますか?

圧倒的な技術力というのにはもちろん憧れますが、それに加えて親しまれるアーティストというのに一番憧れます。これを感じたのがTeamoveのVFXツアーで知り合ったSonyで働かれている大槻さんに出会ったことがキッカケです。

ツアーでリールを大槻さんに観ていただける機会があったんですが、正直その時ボッコボコにされるんじゃないかと不安でした。自信もミジンコほど無かったですし。でも大槻さんは「帰ったらすぐアプライしたほうが良いよ!」と激励してくれたのを鮮明に覚えています。

人生で初めて海外のVFXスタジオにアプライする時は何故かとても緊張してたのですが、大槻さんのその一言でハードルがグッと下がり、思いっきりアプライ祭りが出来ました。

割と日本では応募を無視されることってそんなに頻繁にあることではないと思うのですが、海外スタジオだと普通だと思うので、そこの固定観念を吹き飛ばしてもらえたことに凄い感謝しています!

今でも自主制作がある程度形になったら大槻さんに観ていただいてるんですが、その度に大量のフィードバックとお褒めのお言葉を頂けるんですが、毎回泣くほど感謝してます…(笑)

あとは憧れてたアーティストの方たちが凄く面白くて親しみやすいというのにも影響されました。学生の頃はImage Engineの木村昭太さんやILMの今川真史さんたちのような若い秀才に憧れて「俺は最強」ってスタンスでイキってました(笑)ホントに井の中の蛙レベルだったんですけど(笑)

ただ実際に会って話してみると凄く優しくて面白い方たちだし、めちゃくちゃ凄くて面白くて優しいってのが一番カッコいいなって心から思いました。

なので、実力だけじゃなくて心に余裕を持ったアーティストになりたいです。

後進を指導できるような実力がついたら、自分みたいに目標や夢を持って海外就労を目指している方々をサポート出来るような事業に協力してみたいです!それこそバンクーバーツアーの現地アーティストとして登場できたら最高にアツいです!(笑)

お世話になっている大槻さんとバンクーバーで撮った写真

Q12. CG業界に限らず、海外で働きたい日本人に必要なことはなんでしょう?

一番はモチベーションの維持だと思っています。

僕もやっと入口に立てる未熟者ですが、ここに来るまで2年間まったく手ごたえ無しの状態でアプライを続けてきました。その途中で「諦めて日本で頑張ろうかな」という思考に何回も至りましたが、色々な人や作品に影響され続けて目指し続けられました。

何か自分の中で揺るがない目標を立てる、もしくは憧れ続ければいつかは行けるものだと思います。

僕にとっても国外の映画業界に入るというのは人生で大きい目標の一つだったのですが、それが叶いそうな今、次の目標を定めている最中です(笑)個人的に行きたいスタジオがあるのでそこにアプローチしつつ、現地で仕事が見つけやすいように永住権の申請も目先に入れて計画を立てていきたいと思っています。

海外の映画のクレジットに載っただけで満足しないように目標は絶やさずに決めていきます!

Q13. これから海外に挑戦して、将来は海外のスタジオで働きたい学生や社会人の方にアドバイスをお願いします!

ここまで自分を卑下して書いてきたのですが、やっぱり海外就職は難しいと思います。実力や知識の上に運の要素も乗ってくることもあるので…コロナや世界情勢の関係でビザなどの情報もどんどん変わっていると聞きます。

ただ英語も英検3級レベル、実力もピカイチなわけじゃない僕でも頑張れば引っかかったので、根気強く目指し続ければ叶えられる夢だと僕は感じています。もちろん働き始めてからの競争社会で生き残れるかはまた別問題だと思いますが…(笑)

この記事を読んでくれた方が、大槻さんが僕に言ってくれた言葉のように「あ、頑張ってみよう」って少しでもハードルが下がったら嬉しいです。

Q14. 最後にこの記事を読んだ人が作田さんにコンタクトを取りたい場合はどうすればいいですか?

お気軽にご連絡ください!

twitter: https://twitter.com/39vfx
ウェブポートフォリオ(写真のみ) https://www.39photo.space/

いががでしたでしょうか。

作田さんがご自分の言葉で率直に、そして、熱く答えてくださったのがここまで読んでくれたあなたにも伝わったかと思います。

当時、専門学校生だった作田さんと同じ地点にいる人で、将来海外スタジオで働いてみたい!と考えているあなたにもすごく勇気をもらえるインタビューになったのではないでしょうか?

今年は、作田さんが海外スタジオを目指すきっかけとなった「バンクーバーVFX/CG現地体験会」が約3年ぶりに開催されます。コロナの影響で中止となっていましたが、カナダも通常モードに戻っており、ワクチン接種証明書やPCR検査などは全く必要なし!海外旅行をするのと同じ感覚で渡航できるようになりました。

興味のある方は、ぜひ体験会に参加して、海外への第1歩をスタートしてみてはいかがでしょうか?

バンクーバーVFX/CG現地体験会のご案内
https://teamove.com/tour/