バンクーバーVFX専門学校「Vanarts」を卒業され、現地VFXスタジオに見事就職された小川晃さん

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みなさん、こんにちは!

今日は弊社Teamoveを利用され、バンクーバーVFX専門学校に入学し、卒業後に海外就職された小川晃さんに直撃インタビューをしたいと思います!

小川さんは日本の大学を卒業後、カナダに渡航し、その後は語学学校へ入学そして有名VFX専門学校Vanarts (Vancouver Institute of Media Arts )へ入学

1年の就学を経て、現地VFXスタジオ(Waterproof VFX Studio)に入社しました。

バンクーバーでのVFX業界への就職を見事獲得した小川さん。

どのような道筋を通り、その気になる留学生活や就職活動など余すところ無く今日は聞いていきたいと思います!

Q. 留学にこられる前は何をされていましたか?

京都で大学生をしていました。当時は 個人的にゲーム制作を勉強していて、unityというソフトでゲームを作っていました。その他に、絵の勉強に時間を割いていました。

Q. なぜ留学しようかと思いましたか?

日本の大学では四回生の夏あたりから 就職活動を始めますよね。

僕の場合 その夏休みはゲームしたり、実家に帰って犬と遊んだりして過ごしてたんですが、その後学校が始まってきづいたら みんなもう就職が決まっていました。

仲良くしてた人たちもだいたいネトゲ依存したり、ひきこもったりでお互い悪影響を与え合って、グループで取残されてた感じです。

そのときにはめぼしい会社はだいたいもう採用を締め切っていました。最悪でしたね(笑

しっかり探せばまだまだあったんですけど、まだその時点で自分がやりたいこがはっきりしなかったし、勉強していたゲームの業界に就職しようにも当時たいした作品はもってなかったんです。

だからあのタイミングで就職することをためらっていて、そのあたりから半ば逃避行気味に留学を考えはじめました。

それで留学に関する情報をあつめていたときに、学校の先輩からTeamoveというVFXを専門にしてる留学エージェントがある事を教えてもらったんです。

Teamoveさんと連絡をとり始めて、それから半年ほどかけてじっくり現地の情報をもらっていました。

Teamoveのスタッフさんからはカナダでは総じて転職はキャリアアップとしてナチュラルに受け入れられていること、短期間でやめても特にネガティブなイメージはつかないこと、新卒採用のような窮屈なシステムはない、などの話をきいてそういった部分が当時フィットしたのでカナダに留学し、こちらで就職することを目指しました。

Q. Vanartsを選ばれた理由は何ですか?

僕の選んだ「Game Art and Design」という学科は絵の勉強のような基礎を軸に教えてくれる所だったからです。以前から絵を描くのが好きでそれは続けたかったんです。

それとあまり長く学生をやる余裕がなかったので、1年間での詰め込み式のプログラムは都合がよかったです。

世界一といわれているアニメーションカレッジのシェリダンに行こうか迷ったときもあったのですが、カリキュラムが長いのと、必要なTOEFL のスコアがあまりにも高く断念しました。

Vanartsの場合ひと周りほど必要スコアが低いほか、いくつか別の方法で英語の試験も受けられるようだったので 自分の英語のレベルでもなんとか入学できると思って。

英語は留学後から伸びますから現地に来る前に英語に時間を割きたくありませんでしたね。 

Q. 一番楽しかった授業はなんでしょうか?

ゲームエンジンの授業です。

この授業ではもちろんゲームエンジンの使い方を教わるのですが、それ以前にCG全般、きれいなトポロジーをつくるテクニック、効率的なワークフロー、正しいデータの作り方などその枠を超えて教えてもらうことができます。

それがとてもわかりやすい。

その授業の先生はもともとエンジニアで、企業に対して技術的なアドバイザーもしており、CGの基礎理論そのものに精通している方だったので、ソフトの機能の裏にどういう仕組みがあるのか詳しく教えてもらうことができました。

先生が作成したMAYA用のプラグインは今でも愛用していますし、就職後の今でも頼りにしている先生です。

他の授業もとても勉強になります。先生は大半が現役のアーティストなので、業界の変化に対してのレスポンスはとても早いです。

常に質問や作品のフェードバックはもらっていました。正直、驚くくらい丁寧に一人ひとりに対応してくれていました。

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Q. Vanartsでの授業は英語だったかと思いますが、苦労はありましたか?

最初は先生たちのいってる事はさっぱりわかりませんでした。僕はVanartsに来る前に四ヶ月間、語学学校に通っていたのですが

それでもまったく何をいっているのかわからない状態でした。

ただ、CGの授業に関しては先生がどうソフトを操作するのかをプロジェクターで写されてるので なにをどうしているのかはわかります。

仮に耳栓をしていても 必要な事はわかるようにはなっていました。

それと学校には大量のチュートリアルのストックがあったので それももちろん英語なんですけど

それをみて自分に必要な技能を別で修得していきました。

英語も、さすがに一年を超えたあたりからは変化が顕著に出始め、基本的なコミュニケーションはなんなくこなせるようになりました。

Q. ではどのように英語の壁を克服されましたか?

同時にいくつかの方法で英語の勉強も並行して行いました。

効果があったのはアメリカのドラマなども字幕なしで見てみる。ゲームを英語でプレイする。ポッドキャストで英語のニュースをずっと聞いてみる。発音に特化した本を読んで練習する。ホームステイ友達と遊ぶ。

北米のドラマで、文化や会話の雰囲気を見るのはよかったです。映画よりも日常的で同じ俳優が長くいるので音の特徴を認識しやすいです。ゲームオブスローンやアメリカンホラーストーリーなどを観ていました。

現地人の、連語を短縮して発音する音に対しては、それに対応した勉強をしないとまず聞き取れるようにはならないので、発音には注意して勉強していました。

ホームステイでは毎日夕飯時に 一時間以上 会話をしていたので、これが一番大きかったです。

ゲームを英語でプレイする。スティームというサービスを利用してPCでゲームを買うと英語版、日本語版他、さまざまな言語をいつでも変更することができるのでお勧めです。

グランドセフトオート5、ウィッチャー3、メタルギアソリッド5などメジャーなタイトルは多言語でプレイできるのでぜひ。

学校のプロジェクターを使ってダークソウルを遊んでたこともありました。ゲームのグラフィックを勉強する、英語の勉強をするという大義名分があるので多少現実を犠牲にしてプレイしても大丈夫だと思ってます。

スタジオの面接の時、VFXではあまりよく観たタイトルなどは聞かれなかったんですが、ゲーム会社は自社タイトルをプレイしたかどうか聞かれることが多かったので必要であればいくつか遊んでおくといいと思います。

Q. Vanartsでの勉強はどのくらい行っていましたか?

授業が忙しい時期は   朝9時に学校について夜9時に授業 がおわるような時があり、 その後1時間ほど宿題や作業をして終わりといった時期がありました。

最初は夜10時半くらいまで頑張ってみたこともあったんですが、途中からしんどくなってきて、疲れないようがんばらないことに決めました。

カリキュラムのターム4、最後の学期ではほとんど個人でのデモリ―ルの作成に、授業中先生が待機して、たまにtipsを教えるといった環境になるのでかなり自由になります。

そのころには 昼12時くらいに目を覚まして 1時に学校に着き 授業を二つほどうけ、夜9時に帰宅といった感じでした。どんなに長くても一日10時間が僕の限界だと思ってます。

それ以上は次の日に影響が残ってかえって効率がわるい。長時間頑張ったあげく、機嫌悪い雰囲気をまわりにみせるのはデメリットのほうが多いかなぁと思ってます。

Q. 卒業後、現地VFX会社に就職されたみたいですが、就職活動はどうでしたでしょうか

ワークパーミットの有無が大きく違いました。

卒業間近に、デモリール、作品紹介のウェブサイト、レジュメ(履歴書) 、カバーレターを準備しました。 それを軸に就活をしていましたが、僕はワークパーミットは申請から受け取りまで四ヶ月ほど待つことになったので、最初のほうはワークパーミットなしで就活をしていたのですが、面接にいってもそれがないとわかるやいなやいやな顔をする会社もありました。

ある大手ゲーム会社では急募があったので バンクーバーの各学校に問い合わせをして会社に会う良いデモリールを作った人にスカウトをしていた時期があって、僕にもチャンスがもらえました。すぐに飛びついて 30分ほど面接を受けたのですが、最後にワークパーミットのことを聞かれ、無いと答えると雇うのは難しいといわれ、選考のプロセスに乗る前に断られてしま いました

結局、ワークパーミットを手に入れてからは、面接でも自信をもって応対できるようにもなり、トップスタジオを含む二つのスタジオからアプライされることができました。

小川さんの卒業制作で就職活動に使われたデモリール。ファイナルファンタジーのような美しく壮大な印象です!

Q. 面接ではどのようなことをきかれましたか?

内容としてはおおむね以下のことを聞かれました。

  • 以前の会社ではなにをしていましたか?
  • デモリールの詳細について教えてください
  • これはアンビエントオクルージョンを使用して作ったのか
  • この作品を修正するとしたらどこを直す?
  • 今どこにすんでる?
  • ワークパーミットはある?
  • この作品をつくるのにどれくらいかかったか?
  • V-rayはどのくらいの期間使用してきた?
  • うちのスタジオの作品はプレイしたことある?
  • うちの会社ではフォトリアルを専門にしてるけど、君の作品のそれと関係のあるものはある?
  • なぜこの国にきて、アーティストをめざそうと思ったの?
  • 自分の経歴についておおまかに説明してください
  • 何か質問はある?
  • もし技術的トラブルにあったらどう対処しますか?
  • 好きなゲームは?
  • フォトリアルとスタイライズ作品どちらがいい?
  • モデリングとテクスチャどちらがより得意?

Q. 2つのスタジオから、そちらを選んだ理由はなんですか?

僕 がアプライしたのはMPCとwaterproof studioの 二つです。MPCでのプロジェクトはインデペンデンスデイ、リサージェンスというなかなか大きなタイトルだったのでひとつのチャンスだったのですが、 waterproofのプロジェクトではずっとかかわるのが夢だったタイトルだったのでこちらを選びました。

こちらは口止めされていてタイトルを言うことが できないのですが、カナダにきたことでひとつ夢をかなえることができました。

またMPCにはvanarts の同級生が5人ほど通っていて、話を聞くと結構ハードに働く側面が強いようだったので、給与や労働条件なども総合して考えてウォータープルーフにきめました。

Q. 海外、バンクーバーで仕事してどうでしたか?

僕の職場はとてもフェアでした。

僕は大体定時から30分ほど過ぎたあたりであがっていたのですが、アニメーションとマネジメントチーム以外は定時ですっと帰っていました。

あまり長時間働くということはなかったし、明るくてすごく雰囲気のいい職場でした。

隣の席の同僚なんかは昼休みにジムに行くのが日課で、日によっては2,3時間帰ってこなかったりします。それでも定時にはきっちり帰宅してたりして。

彼に習ってではないんですが、最近マウンテンバイクのダウンヒルを始めたので、仕事が終わった後に近所の山にいって練習しています。こういった時間が取れるのはやっぱり大事だとおもいます。

Q. 今働いてみて、VanArtsで学んだことで、一番役に立ったことは何ですか?

先生が現役のアーティストということもあり、業界で使用するソフトウェアやプロセスをそのまま学べるので、すぐに職場のワークフローに対応できます。ここが一番直接的に役に立ちました。

Q. Teammoveではどのようなサポートをしてもらいましたか?

一度、Teamove主催のツアーで日本電子専門学校の方々がバンクーバーのゲーム、VFXスタジオ見学ツアーにきていただいた際、通訳の手伝いを頼まれたことがありました。

このツアーは僕にもチャンスでバンクーバーの各主要スタジオの様子をみることができたほか、通訳の手があいたときに自分をスタジオにPRしてたんです。

アプライしたMPCもこのツアーで参加したスタジオで、通常のエージェントとしてのサポート以外にこういうところでチャンスをもらっており、彼らのサポートにはとても感謝しています。

在学中から就職後も定期的に食事の機会をつくって、情報交換したり、人を紹介しあったりしています。

Q. CG業界に限らず、海外で働きたい日本人に必要なことはなんでしょう?

願望なのですが 英語の勉強のために来てるから、同じ日本人と仲良くしないようにするという主旨の記事や本をたまに見かけます。

それを実際に実践していたり、露骨に避けてるような日本の方に何人か出会った事があります。そういうことはしないでほしいです。ここは北米だからというような意識をしすぎない方がいいと思います。

むしろ物事を曖昧に捉えている方がよりこちらの雰囲気にフィットするんじゃないでしょうか。

Q.これから海外に行きたい、働きたい学生の人にアドバイスをお願いします!

ビザの問題はこの国で働く外国人すべてについてまわるのでよく調べておくことをお勧めします。

僕の卒業したVanartsは卒業後、Post-Graduate Work  Permit というワークパーミットをもらえる資格があります。

この学校は実は公式の移民局のルールではこのワークパーミットをもらえる対象外になっているのですが実はほとんどの留学生がこのワークパーミットを申請し、実際に手に入れています。

一年の人もいれば三年のワークパーミットがもらえる人もおり、それとワーキングホリデーのワークパーミットを組み合わせれば長期間働くことができます。職歴が一年以上あれば永住権の申請を出す条件のひとつをクリアできます。

移民局のルールは毎年少しづつ変わるので注意が必要ですし、移民局のオフィサー一人の気まぐれで自分のこの国でのステータスが決められてしまうこともあるので運の要素もずいぶん含まれますが、安直にネットの情報や公式ルールだけをみてあきらめてしまわず、直に同じ業種に携わっている方にいきなりでもいいので連絡を取ってみることをおすすめします。

お話聞かせて頂きありがとうございました!

Akira Ogawa
Environment Artist

デモリール: https://vimeo.com/137080999

小川さんの作品Webサイトやデモリールは上のリンクからもご覧頂けます!