海外VFX/CG就職サポートプランを活用し海外スタジオでシニアリガーとして活躍する上本さんへインタビュー

皆様、こんにちは!

本日は、CGアーティストのインタビューシリーズをお届けします。

インタビューに協力してくださったのは、弊社の「海外VFX/CG就職サポートプラン」を利用して、海外就職を実現し、現在、ICON Creative Studioでシニアリガーとして活躍中の上本卓也さんです。

上本さんは、大学を卒業してから、船の設計のお仕事をされていましたが、CG業界へ転職するために、デジタルハリウッドのCG/VFXコースで1年間CGを勉強。その後、日本のゲーム会社でリガーとして勤務している中、海外への挑戦を考え始めました。

CG留学ではなく、日本から直接海外へ挑戦し、海外スタジオからのオファーを獲得した上本さんの旅路をじっくりインタビューさせていただきましたので、日本から海外挑戦したい方はぜひ参考にしてみてください。

それでは、早速インタビューをご覧ください♪

目次

Q1. 現在働かれている会社とポジション、今取り組んでいる仕事内容を教えてください

バンクーバーのICON Creative studioでシニアリガーとして働いています。

直近では『Firebuds』というディズニージュニアやDisney+で配信されている、子供向けアニメーションに参加しました。

Q2. 今のスタジオで働く前は、日本では何をされていましたか?

大学を卒業してから4年間、船の設計に携わっていました。そこから転職を考えて、デジタルハリウッドのCG/VFXコースで1年間CGの勉強をした後、約3年間ゲーム会社でリガーとして勤務しました。

Q3. 普段、専門分野やCG関連はどのように学んでいますか?

CG業界に転職を考えた際、まず上京してデジタルハリウッドのCG/VFXコースに通学しました。

CGの勉強に集中するため、その1年間は毎日のように学校にこもり、朝9時から夜12時まで作品の制作に取り組みました。この経験が現在の土台となっています。

リグに関しては独学です。職種柄、人口も少なく、スクールや職場にも教えてくれる人がいませんでした。わからないことや学びたいことは、インターネットで先人たちの知識を参考にしながら、トライアンドエラーを繰り返して学びました。

Q4. 海外で働きたいと思ったきっかけは何ですか?

30歳を迎える手前に、パートナーと「ワーキングホリデーの申請ができる最後の年」という話をした際に、今しかチャンスがないと思ったことがきっかけです。

最初は海外で働くことに興味はありませんでしたし、どちらかというと日本のゲームが好きで、海外の映画やアニメーションをあまり見ていませんでした。しかし、海外での就労経験がありピクサーやディズニー作品が好きなパートナーの影響で見る機会が増え、私も次第に興味を持つようになり、海外のスタジオで働くという選択肢に関心を持ち始めていました。

海外で働くことを調べていく中で、働き方や仕事への価値観、環境、給与なども決め手となりました。日本の情勢が不安定な中、若いうちに海外で働けることは今後の大きな武器になるとも思いました。

Q5. Teamoveの海外就職サポートプランを受けた感想と、サポート前と後で何か大きく変わった点は何かありますか?

実際に海外で活躍されているアーティストの方から詳しい情報をもらえたことで、海外で働くことへの解像度が上がり、より具体的な対策を練ることができました。

サポートいただく前は、自分のアーティストとしてのレベルは海外で通用するのか、デモリールを作るうえで何を意識したら良いのか、海外ではどの就活サイトを使ってどのようにアプローチすればよいのか、面接ではどんなことを聞かれるのか、ビザは会社がサポートしてくれるのが一般的なのか、などなどわからないことが多くとにかく不安だらけでした。当時勤務していた会社のプロジェクト内でもリガーは自分ひとりで、気軽に周囲に相談ができなかったため、自分でインターネットを通して情報収集をする日々でした。

そんな中でTeamoveさんの海外就職サポートプラン(※インタビューの最後にサポートプランのリンクをご紹介します)を見つけることができました。実際にデモリールを見ていただき、就活のロードマップをビザや費用などの要素も含めていろいろと選択肢があると具体的なアドバイスをいただいたことで、不安な部分がかなり解消されました。何より海外でも通用するレベルだと言っていただけたことは自信にも繋がりましたし、業界による傾向や就活でどう情報をとっていくか、アピールしていくかなど教えていただいたことはとても参考になりました。

Q6. 海外のスタジオからオファーをもらうまでの流れを簡単に教えてもらえますか?

日本にいながら、LinkedInで興味のあるスタジオやそのリクルーターの方をとにかくフォローしていきました。その中で今の会社がリガーを募集しているポストを見つけ、応募しました。インターナショナルな職場だと書いていたので、面接くらいはしてもらえるかも、少しでも練習になればという気持ちでした。

3日後にすぐリクルーターの方から面接の連絡がきて1週間後に面接を受けることになり、その1週間後にはオファーをもらうことができました。想像していたよりすんなりオファーがもらえて拍子抜けしましたが、コロナも落ち着いてきて求人も増えていた時期だったので、とても運がよかったです。

Q7. 海外のスタジオからオファーをもらうために特に力をいれたことは何ですか?

デモリールのブラッシュアップと面接の練習に特に力を入れました。

海外で働くリガーのデモリールをたくさん見てどうすれば差別化を図れるか、オリジナルが出せるかを研究しました。リグのデモリールは実際にリグを動かし、どういう風に動くかを見せるものが多かったのですが、私の場合は自主製作のモジュラーリギングツールをメインとしたスクリプティングリールにしてみました。その中でも、リグのパフォーマンスを上げるための並列化の知識と、C++プラグインをメインにアピールしていきました。

そして面接練習をめちゃめちゃたくさんやりました。海外就職に向けて英会話スクールに入学し、そこで模擬面接を何度も行ってフィードバックをもらっていました。元々話すことが苦手なので、とにかく聞かれるであろう質問をリストアップしてその質問に対して自分の伝えたいことをまとめ、反復練習をして自信を持って面接に臨めるようにしました。

Q8. 面接ではどのようなことをきかれましたか?

正直緊張したり聞き取れなかったりでうろ覚えな部分が多いですが、いつから働けるのか、給与はいくらくらいほしいか、ビザに関して、当時私が働いていたゲーム会社での働き方に関して(チームで働いているのか、開発していてわからないことが出てきたらどうしているのかなど)、社内のエンジニアと協力して開発作業を行えるか、なぜ日本を出てカナダで働きたいのかなどを聞かれ、デモリールの評価もしてもらえました。15分くらいの雑談程度でかなりあっさりしていました。

Q9. 面接を振り返ってみて、ズバリ!受かった要因は自分で何だと思いますか?

ちょうど求人が増えていた時期でその会社のニーズに合ったことと、すぐ働けるビザがあったことだと思います。

面接時にリギングヘッドから、ちょうどリグの最適化(高速化)に取り組もうと考えていた時期で、開発作業を行える人も探していたと聞き、デモリールの内容と合致したのだと捉えています。

また、ワーキングホリデービザですぐに働けるビザを持っていたことで、やはり雇いやすさもあったと思います。

Q10. 実際に海外のスタジオでの仕事をしてみて、これはすごい!と感じたことは何かありますか?

規模の大きさにびっくりしました。

元々日本では1社でしか働いたことがなく、リガーは私1人のプロジェクトだったため比較していいのかわかりませんが、今の会社ではリガーの人口が多く、各チームに最低5人以上はいます。チームで働いたことのない私にとっては、スケジュールやパイプラインがしっかりしていること、複数人で協力して働けること、スキルの高い同僚から刺激を受けられることに、すごい環境だと感激しました。

また、残業が全くなく給料が高い部分でも、聞いてはいたけどやっぱり働き方や価値観が全然違うのだとカルチャーショックを受けました。

同僚達とプライベートで!

Q11. 海外のスタジオでの仕事や生活で苦労していること、もしくは、苦労したことを教えてください

やはり英語です。そもそもあまり喋る方ではなく、日本語でさえ会議や人前で発言するのは吐き気を催すほど苦手でした。今の会社はリモートで働いていますが、もちろんミーティングもあり発言する必要がありますし、チームメンバーとも普段からコミュニケーションを取る機会が多々あります。最初は特に自信がなかったのですが、それを克服するために今でも習慣的に勉強に取り組んでいます。

Q12. 英語はどのように学習されましたか?もしくは今も学習している場合はどのようにしていますか?

海外で働く準備をしようと決めてからすぐ、英会話スクールに入会しました。全くの初級で目標や期限がないと上達しないと思ったので、数か月単位で契約ができてコンサルタントがサポートしてくれる所を探しました。そこから毎日仕事終わりに45分程度の英会話レッスンを受け、アプリを使いながらスキマ時間に単語や発音の練習を地道に3ヵ月行いました。

当時ほどではないですが今でもやはり自信はないので、週1回ですがコーチングスクールでレッスンを受け、アプリでの単語の習得も続けています。また、永住権取得も目標にしているためCelpipを受けたり、スコアアップのためのテスト勉強も始めています。

Q13. 今後どんなCGアーティストを目指していますか?もしくは、何か新しく挑戦をしようと思っていることがあれば、教えてください

今はリードになることを目指しています。

そのためにはまだまだ技術的に未熟なところがあるため、技術資料を探して勉強したり、それをリグに実装するために直近では線形代数を学び直したりしています。

もちろん英語も今以上のレベルが求められます。たまにリードが不在の際は、ミーティングを任されたり仕事の割り振りを考えたりする必要があるのですが、そういったときにもっと自信をもって対応できるようにならなければと感じています。今はCEFRのB2-で中級レベルですが、C1の上級レベルを目指してコツコツ取り組んでいます。

Q14. これから海外に挑戦して、将来は海外のスタジオで働きたい学生や社会人の方にアドバイスをお願いします!

デモリールはもちろん重要ですが、自分が働きたい国の情勢やビザについてよく知った上で計画を立てることがとても大切だと感じています。

私は当初からパートナーとカナダの永住権取得を検討していたため、Teamoveさんのサポートの他にビザのコンサル会社にも日本にいるうちから相談をして、自分たちにはどんな選択肢があるかを吟味していました。カナダでは職歴が大切で、フルタイムで1年以上働くことができれば永住権申請のスタートラインに立てるということもそこで知り、特に制限もなく1年働けるワーホリビザを有効活用しようと日本にいながら計画的に準備を進めることができました。

国によってもいろいろな制度や条件があるのでそれらをよく調べたうえで、自分の目的や将来設計、現在の年齢や予算、職歴、言語力などを考慮しながら現実的なロードマップを作ると良いと思います。

全く海外に興味もなく英語も喋れず引っ込み思案だった自分でも、いろんな人の助けを借りてこうしてカナダで活躍することができています。今は相談できる窓口も、情報発信している現地の人もたくさんいます。まずは情報を集めるところから、ぜひ始めてみてください。

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Q15. 最後にこの記事を読んだ人が上本さんにコンタクトを取りたい場合はどうすればいいですか?

最近になってようやく、X(Twitter)を始めました。
何かお力になれることがあれば、お気軽にご連絡ください。

上本さんのXアカウント:https://x.com/TuUetti

いががでしたでしょうか。

日本からの挑戦、そして現在地までの旅路がギュっとつまったインタビューでした。このインタビューシリーズではリガーの方は初めてでしたので、リガーを目指している方にとっても参考になる内容が多く含まれていたと思います。

実際、上本さんのようにCG留学をしなくとも、日本での経験をベースに海外からオファーをいただけたケースは複数あります。上本さんのインタビューにもありましたが、海外での働く環境面が素晴らしさ、魅力は日本にないものだと思いますので、海外で働くことに興味がある方は、ぜひ「海外VFX/CG就職サポートプラン」をスタートポイントとしてご利用いただけたら幸いです。

インタビューの内容で特に印象的だったのは、しっかりとした計画と入念な準備・研究姿勢です。私達は上本さんの当時の実力、それから語学力、ビザまわり予算など総合的に見て、いくつかの選択肢を提案し、アドバイスをしてきましたが、そこからは上本さんご自身の努力の結果により、海外オファーにつながり、その後も順調なキャリアを歩んでいます。インタビューを読んでいただくと上本さんがどのように準備、計画をして、オファーをもらうためにどのような行動を実際にしてきたのか、丁寧に答えてくださっていますので、ぜひインタビュー内容を振り返って、参考にしてみてください♪

上本さんが利用した「海外VFX/CG就職サポートプラン」の概要はこちらのリンクからご覧ください。内容に関して、ご質問・相談がございましたら、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

最後に、海外挑戦を目指す方におすすめのイベント「バンクーバーVFX/CG現地体験会」が今年の秋にバンクーバー開催されます。今年最後のイベントで来年の春の開催はありませんので、興味のある方は、ぜひ体験会に参加して、海外への第1歩をスタートしてみませんか?

今年最後の開催!バンクーバーVFX/CG現地体験会のご案内
https://teamove.com/tour/