語学留学、Lost Boys、現在はFXTDとしてImage Engineで活躍中の安部井さんへインタビュー

皆様、こんにちは!

本日は、CGアーティストのインタビューシリーズをお届けします。

インタビューに協力してくださったのは、弊社がCG留学サポートをさせていただき、語学留学を経て、バンクーバーのLost Boysに留学され、卒業後、Image EngineでFXTDとして活躍中の安部井絵樹さんです。

安部井さんが、最初に弊社にお問い合わせいただいたのは、2021年の後半、それから、語学留学で英語力をブラッシュアップし、その後、エフェクトアーティストを目指すために「Lost Boys」で2022年の春から留学をスタートしました。

Lost Boys卒業後、憧れのスタジオの1つ「Image Engine」に就職が決まり、現在はFXTDとして奮闘中です。

語学留学、Lost boysの専門留学、それから、現地就職という流れは、弊社を通じて就職された方の中でも最も多いパターンになっています。特に、スタジオからオファーをもらうコツ、面接での内容、面接で受かった要因分析などは、参考になる内容で、これから海外での就職活動をする人はぜひご覧になってみてください。

それでは、早速インタビューをご覧ください♪

目次

Q1. 現在働かれている会社とポジション、今取り組んでいる仕事内容を教えてください

Image Engineという会社でFXTDとして働いています。

現在は主にHoudiniを用いた爆発や破壊、煙などのシミュレーションを作成しています。

ジュニアアーティストとして、既存のツールを使用しながら作業することが主ですが、稀にセットアップの作成を任されることもあります。

Q2. 今のスタジオで働く前は、現地の専門学校 Lost Boysに留学されたということですが、留学の前はどんなことをされていましたか?

高校卒業後は実家で映画やゲームに時間を費やす自堕落な暮らしをしばらく続けていました。

1年間ほど経った辺りで小遣い稼ぎとして動画編集を始め、その流れでMayaを学び、留学前の3ヶ月間はHoudiniにも少し触れていました。

Q3. Lost Boysに入学される前は、語学学校にも少し通っていましたが、英語力に変化はありましたか?

今までの人生で英会話の経験がほとんど無かったので、最初の練習という意味では有意義でした。

教科書に乗っていないような、口語的な英語を学べたのも良かったです。

しかし語学学校には日本人も少なからずいるので、ある程度自分を律して生活しないと日本語まみれになってしまう点は注意が必要だなと感じました。

カナダの自然に囲まれるスコーミッシュへの旅行

Q4. 現地の専門学校に留学することや海外で働いてみたいと思ったきっかけは何ですか?

独学でCGを学んでいく中でエフェクトに興味を持ち、それを専門的に学べる場所としてLostboysを見つけました。

以前から若いうちに海外を経験しておきたいという気持ちもあり、留学を決めました。

Q5. Lost Boysではどんなことを学びましたか?また、Lost Boysのおすすめポイントとどんな人に向いている学校か教えてください

FXTDコースでは1年間Houdiniのみをひたすら学びます。

8人程度の少人数クラスなのでクラスメイト同士の距離もおのずと近くなりますし、皆学習意欲が高いので切磋琢磨しながらHoudiniと英語の両方を習得していくことができます。

BBQやスタジオ見学、グループ制作といったイベントも豊富で充実した1年間を過ごせますが、良くも悪くも自由な校風なので、自分でしっかりとプランを立てながら学んでいかないと普通に置いていかれます笑

ただ、1年間エフェクトと本気で向き合いたい人にはこの上ない環境です。

エフェクトと本気で向き合う人が集まるLost Boys

Q6. 海外のスタジオからオファーをもらうまでの流れを簡単に教えてもらえますか?

卒業2ヶ月ほど前からLinkedinに毎週自分の作品を公開しつつ、各スタジオにも応募を開始しました。

30社ほどアプライして、全て断られてしまったのですが、デモリールを見たimage engineのリクルーターから面接をしないかという申し出があり、それがきっかけで就職が決まりました。

image engineは憧れのスタジオでしたが、ジュニアアーティストを採用しないと聞いていたので応募すらしていませんでした。

まさか向こうからお声がけいただけるとはと大変驚いたのを覚えています。

Q7. 海外のスタジオからオファーをもらうために特に力をいれたことは何ですか?

デモリールの完成度を上げていくことはもちろんですが、とにかくLinkedinで多くの人に自分の作品を見てもらうことです。

事実、Linkedin内のメッセージでインターンや面接のお誘いを頂くことも数多くあり、その重要性をひしひしと感じました。

本格的に就活を始める前からコネクションを増やしておくと良いと思います。

また、作品を目にした人が途中で飽きてしまわないようなブレイクダウンの見せ方やテンポ感にもかなり気を使いました。

卒業式での一コマ

Q8. 面接ではどのようなことをきかれましたか?

基本的にはデモリールを一緒に見ながら、要所要所でどのように作ったかをプレゼンします。

Lostboysでは毎週月曜日に成果発表の時間があるので、特に対策をしなくても同じような説明で問題なく対応できました。

その他には、
「好きな映画は?」
「もし時間があるならどこを修正する?」
「あなたの最終的なキャリアの目標は?」

といった質問はよく聞かれました。

形式は全てオンラインです。

Q9. 面接を振り返ってみて、ズバリ!受かった要因は自分で何だと思いますか?

一番大きかったのはデモリールの中に会社がこれから着手するプロジェクトとほとんど同じショットがあったことです。

こればかりは運になってしまいますが、同じような作品ばかりではなく幅をもたせることである程度対策できるのではと思います。

自分の場合はKineFXやAXIOMといった比較的マイナーなツールを使った事が面接で高く評価されたこともあるので、興味を持ったものは色々手を出してみると良いかもしれません。

他には、数あるスタジオの中で絶対にここで働きたいという意思表示をしたことでしょうか。

自分はimage engineの手掛けた「第9地区」がCGを始める一つのきっかけになっているので、その点を面接でアピールしました。

また、面接後、合否通知前に開催されたジョブフェアにも参加し、リクルーターに直接面接の感謝と働く意欲を改めて伝えました。

SIGGRAPH会場での一コマ

Q10. 実際に海外のスタジオでの仕事をしてみて、これはすごい!と感じたことは何かありますか?

引き継ぎ作業で他の方が作成したファイルを編集することがあるのですが、どれも非常に効率的かつ機能的に作られています

自分が知らないような機能も沢山あり、まだまだ勉強不足だなと痛感する毎日です。

一方で、製作のレベルが非常に高いにも関わらずワークスタイルがかなり自由であったり、1時間単位で翌日でも有給が取れる辺りは流石北米だなと思います。

福利厚生も充実していて残業も少ないので将来的に日本で働けるか不安です…笑

Q11. 海外のスタジオでの仕事や生活で苦労していること、もしくは、苦労したことを教えてください

働き始めは会社のパイプラインや規定を英語のドキュメントで理解するのがかなり大変でした。

従業員のほとんどがリモート勤務かつ自分のような実務経験無しの人もいないので孤独感もかなり強かったです。

しかし、どんな質問でもリードやスーパーバイザーがすぐに親切に答えてくれるので助かっています。

Q12. 英語はどのように学習されましたか?もしくは今も学習している場合はどのようにしていますか?

Netflixで同じドラマを5周くらいしていました。

リスニング力が鍛えられますし、会話内でのフレーズをそのまま実生活で使えます。

学校に通っていた時は毎週放課後にクラスメイトとボードゲームやTRPGをしていたのも効果的でした。

ルールブックを英語で読んで、英語で他の人に説明しますし、ゲーム中はある程度決まったフレーズしか使わないので、比較的簡単な会話で親睦を深めることができます。

一方で、仕事を始めてから急激に英語を使う機会が減ったのでmeetupなどに参加して英語環境を作らなければなと少し焦っています。

Lost Boysの卒業セレモニーでの記念写真

Q13. CG業界に限らず、海外で働きたい日本人に必要なことはなんでしょう?

自分を売り込む力だと思います。

ジョブフェアなどに行くと英語が母国語でない南米や中国の方たちが積極的にリクルーターとコミュニケーションを取る傍ら、日本人は名前だけ記入して退散、という光景をよく見ます。

Q14. これから海外に挑戦して、将来は海外のスタジオで働きたい学生や社会人の方にアドバイスをお願いします!

意欲さえあれば挑戦するのに早すぎることも遅すぎる事もないですし、日本人の作品はどれも非常にレベルが高いので、自信を持って飛び込んでもらえればと思います!

Q15. 最後にこの記事を読んだ人が安部井さんにコンタクトを取りたい場合はどうすればいいですか?

お気軽にご連絡下さい!

Twitter: https://twitter.com/ena_l20
LinkedIn : https://www.linkedin.com/in/enaabei

いががでしたでしょうか。

安部井さんが、語学留学からスタートし、そしてLost Boysへの留学、最終的に憧れのスタジオの1つであるImage Engneへ就職を決めるまでの過程を振り返っていただくインタビューでした。

インタビューの内容で特に印象的だったのは、就活の前からLinkedinを積極的に活用していること、そして、ご自身で受かった要因をしっかりと分析できており、分析内容はこれから現地で留学、そして就職活動する方にとって、とても貴重なアドバイスになるでしょう。

さらに、最後に日本人に足りない点として「自分を売り込む力」を挙げられています。まさにこの点は、CG業界にかぎらずですが、海外で働きたい日本人にとっても本当に必要な力だと私達も感じています。スキルレベルには差がないのに、日本人ではなく海外の人が採用されているケースのほとんどは、この売り込む力に左右されるので、海外就職を目指す皆さんは、売り込む力もプラスアルファで磨いておくと就職にグッと近づくでしょう。

ぜひインタビュー内容を振り返って、参考にしてみてください♪